〇〇するだけで気持ちよくなる? 自分で簡単に「快」をつくる方法とは?

先日、ある窓口で手続きをしていたときのことです。
対応してくれた職員の方が、明らかにイラついていました。
僕を前にして「本部」に電話をかけながら、やや強めの口調で話している。
内容からして、責任の所在を確認しているようでした。

気持ちはわかります。
僕もかつてサラリーマンとして、理不尽なクレームや業務達成の圧力にさらされたことがありました。
自分を守るために確認を重ねるのは当然の反応です。
でも、見ているこちらも少し苦しくなる。
「自分を守る」つもりが、まわりにも不快を広げてしまっている――そんな状況でした。


快は「生き延びるための行動報酬」

そもそも「快」は、ただの気分ではありません。
それは人間が生き延びるために進化させた行動の推進装置です。

食べる・眠る・人と関わる――こうした行為が快く感じられるのは、
それらが生存や繁殖に有利だったからです。
脳は、そうした行動を強化するために「快感」という報酬を与える仕組みを持っています。

つまり、快とは後天的な贅沢ではなく、脳にあらかじめ備わった生存のための機能なのです。
そして重要なのは、

この機能は「いつでも」「ひとりでも」作動させられる、という点です。

外部のご褒美や承認がなくても、
体を動かす・光を浴びる・声を出す・香りを感じる――
それだけで脳内麻薬(エンドルフィン、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン)は自然に分泌されます。
つまり、快は自力で再生できるものなのです。


「ダマされた」と思ってやってみよう

これから紹介することは、どれも特別な方法ではありません。
むしろ「そんなの当たり前じゃないか」と思うようなことばかりです。
書いてあることは、皆さんが何度も読まれたことだと思います。
なんだ大した話じゃないな、わたしもそう思っていました。

しかし、ちょっとした道具くらいしか持っていなかった人類が、
本能として身につけてきた行動なのです。
逆に言えば、大した話のはずがないじゃないですか。
ぼくらは現代社会で“大したこと”を見聞きしすぎているだけなんです。

それに、「大したことがないかどうか?」は、やってみればすぐにわかります。
これから挙げていく各項目に、「習慣化の努力」は特に必要ありません。
ふつうに気持ちがよくて、止められなくなるからです。

じつは、苦労して習慣化しなければならないものこそ、本来はやめるべきことなんです。


囚人体操を3分やるだけで、心の毒が抜ける

ストレスを“我慢してやりすごす”のではなく、体を動かして抜く
軽い屈伸でも腕まわしでもいい。
一定のリズムで動くと、βエンドルフィンが分泌され、脳が「快」に切り替わります。
イライラしているときほど、思考を変えるより、まず動くほうが早いです。

📝 注:囚人体操とは?
囚人体操は、5秒で始められるシンプルな健康体操です。
特別な道具もスペースもいりません。
詳細は後日、別記事でご紹介する予定です。


朝の光を浴びるだけで、やる気が戻る

セロトニンは日光と同期しています。
朝の光を15分浴びるだけで、体内時計がリセットされ、やる気ホルモンのドーパミンが整います。
寝不足で「寝ないで頑張っている自分」に酔うのはもう卒業しましょう。
脳は、しっかり休息をとり、光を浴びているときにこそ修復されるのです。


「ありがとう」と言うだけで、脳が鎮まる

誰かに何かをしてもらったら「ありがとう」。
これだけでオキシトシンが出ます。
相手の反応は関係ありません。
レジで「お願いします」、電話で要件を伝えるときに「お忙しいところすみません」。
そう言うだけでいいのです。
たとえ無視されても、あなたの脳はちゃんと守られます。


一味をひと振りするだけで、脳が笑う

辛味刺激のカプサイシンは、軽い痛みを「快」として誤認させる天然のスイッチです。
エンドルフィンが分泌され、幸福感が生まれます。
外食でも弁当でも、一味をひと振りすればそれで十分。
持ち歩ける「即効の快」です。
サラリーマン時代の僕なら、鞄のポケットに入れておきたかったと思います(笑)。


快を思い出すだけで、今日が整う

寝る前に「今日いちばん気持ちよかった瞬間」をひとつ思い出す。
それだけでセロトニンが上がり、睡眠の質が変わります。
快はいつも外からもらうものではなく、自分の脳のなかで再生できる
人間は、そういう仕組みにできているのです。


快を重ねると、人生そのものが変わる

快の経験を積むと、行動そのものに快がともなうようになります。
たとえば、朝起きる、歩く、食べる――どんな小さな行動にも「気持ちよさ」がついてくるとしたら、すばらしくないでしょうか。

人間はもともと、そうした“快をともなう行動”ができるようにデザインされています。
なぜなら、そのほうが生存に有利だからです。

今回紹介した内容は、おそらくその本来の生命のありかたに戻す試みの、最初の一歩です。
「すべてのことがおっくう」だと感じている人ほど、
“すべての行動が心地よい状態”を、いちど思い浮かべてみてほしいのです。

いまはまだ想像することすらできないかもしれません。
けれど、どちらが生きやすく、どちらが自然か――
きっとすこしでも体感すればすぐにわかるはずです。

結局のところ、それは自分の状態に注意を向け、行動することで生じた、小さな変化を自分で感じ取ることから始まります。
その瞬間に、快の回路が静かに動き出すのです。

結論:やるべきことは「快の再生」だけ

あの日、窓口で本部に電話をかけていた職員さんは、きっと「自分を守る」ために頑張っていたのだと思います。
でも、本当の意味で自分を守るとは、その場しのぎに状況をとりつくろうことではありません。

自分の説明に間違いがあったことをみとめて、笑顔で謝罪すればよかっただけです。
もし僕が仏頂面のままでも、それだけで担当者の脳には「快」がうまれました。

イラつきを生むのも、消すのも、結局は自分の脳。
そして、気持ちよくなるのに必要なのは、たった“これだけ”のことなのです。

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