
ダイエットと「性格」の意外な関係
実は、ダイエットがうまくいくかどうかは、 その人の性格(=行動や考え方の傾向)と深く関わっていることがわかってきました。
ここでは、心理学で広く使われている性格分類「Big Five(ビッグファイブ)」の視点から、 それぞれのタイプに合ったダイエットのヒントをご紹介します。
🔍 Big Five(ビッグファイブ)とは?
人間の性格を、大きく5つの傾向で整理したモデルです。
性格特性 | 主な特徴 |
---|---|
誠実性(Conscientiousness) | 真面目、計画的、責任感が強い |
協調性(Agreeableness) | 親切、共感力が高い、人と争わない |
神経症傾向(Neuroticism) | 不安になりやすい、感情の波が大きい |
外向性(Extraversion) | 社交的、活発、人との交流を好む |
開放性(Openness) | 新しい経験を好む、好奇心旺盛、創造的 |
今回は、特に研究で「ダイエットとの関連」が明らかになっている **誠実性・協調性・神経症傾向・衝動性(開放性の一部)**にフォーカスして解説していきます。
✅ ダイエットに有利な性格タイプと、その理由
1. 誠実性が高い人(Conscientiousness)
自己管理ができる/計画性がある/几帳面
- 成功しやすい理由:
- 食事記録や体重管理が習慣化しやすい
- 衝動買い・ドカ食いを抑える力がある
- コツコツ型の継続に向いている
- 推奨アプローチ:
- アプリでのカロリー記録
- 目標の細分化と進捗チェック
- 食事ルールのマイルール化
🔍 参考研究:Jokela et al. (2013)、Huang et al. (2023)

2. 協調性が高い人(Agreeableness)
人に親切/信頼関係を大切にする/協力的
- 成功しやすい理由:
- 支援者の存在がダイエットのモチベーションになる
- パートナーや友人と一緒にやることで継続できる
- SNSやグループダイエットとの相性が良い
- 推奨アプローチ:
- ダイエット仲間とLINEグループを作る
- SNSで進捗をシェア
- 応援してくれる人を周囲に置く
🔍 参考研究:Koutras et al. (2021)

⚠ ダイエットに不利な傾向がある性格と、その対策
1. 神経症傾向が高い人(Neuroticism)
不安になりやすい/気分が揺れやすい/落ち込みがち
- つまずきやすい理由:
- 気分に左右されてドカ食いや中断が起きやすい
- 成果が出ないと自己否定に陥りやすい
- 食事を「感情コントロールの手段」にしてしまうことがある
- うまくいくには?:
- 短期集中型プログラム(例:4週間VLED)で成果を実感する
- 「失敗する日があって当然」と最初に決めておく
- 感情の波と食欲を切り離すため、記録より“感情ログ”をつける
🔍 参考研究:Munro et al. (2011)
2. 衝動性・新奇追求が高い人(Low Conscientiousness / High Novelty-Seeking)
飽きっぽい/刺激を求めがち/ルールを守るのが苦手
- つまずきやすい理由:
- 単調なルーティンに耐えられず挫折しやすい
- 食事制限を「つまらない」と感じてしまう
- リバウンド率が高く、習慣化が困難
- うまくいくには?:
- 週替わりチャレンジ式で変化のあるダイエット
- 運動は「楽しさ優先」(例:ダンス、アウトドア)
- 飽きてもいい設計にしておく(例:「3日で変えてOK」ルール)
🔍 参考研究:Huang et al. (2023)
🎯 補足:意外な発見「“アイデンティティ”がある人は強い」
ある研究(Cruwys et al., 2020)では、 「自分の食生活=自分のアイデンティティだと感じている人」ほど、食事スタイルを長く続けられる という結果も出ています。
つまり、 「私はダイエッターです」ではなく、 「私はベジタリアンである」とか、「私は○○流の生活を選んでいる」と思える人は、 行動の継続が“努力”ではなく“自然な選択”になるんです。
✏ まとめ:自分の性格を知ると、無理なく続けられる
- 誠実性が高い人 → 記録と計画で強くなる
- 協調性が高い人 → 仲間と一緒にやると続く
- 神経症傾向が高い人 → 短期集中&感情の言語化がカギ
- 衝動性が高い人 → 飽きてもいい設計で挑む
正しい方法を選ぶ前に、自分にとって「自然にできる方法は何か?」を知る。 それが、ダイエット成功の一番の近道なのかもしれません。
<参考文献>
Big Five 性格特性とダイエット成功の関連:主要研究まとめ
■「肥満の発生・持続と性格の関連性:参加者個人データに基づくメタ分析」
Markus Jokela 他, 2013年
約79,000人・9つのコホート研究を統合した大規模メタ分析。
誠実性(Conscientiousness)が高い人ほど、肥満リスクが低く、長期的な減量維持にも成功しやすい傾向が見られました。
他のBig Five特性との関連は一貫性がなく、誠実性がダイエット成功において最も重要な性格因子とされています。
🔗 PMCID: PMC3717171
📰 Obesity Reviews, 14(4): 315–323, 2013
📘 DOI: 10.1111/obr.12007
■「性格はダイエット成功を予測できるか?:異なる食事法の比較」
Irene A. Munro 他, 2011年
肥満のある54人を、**通常のカロリー制限食(12週間)と超低エネルギー食(VLED、4週間)**の2群に割り当てた研究。
神経症傾向(Neuroticism)が高い人ほど、短期・厳格な食事(VLED)でより大きな減量に成功。
一方、誠実性の高い人ほどVLEDでは体重減少が少ない傾向がありました。
一般的な「自己制御」と体重減少の間には有意な関連は見られず、性格と食事法の相性の重要性が示唆されました。
🔗 全文はこちら
📰 International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity
■「性格特性と減量維持:横断的研究」
Yiannis Koutras 他, 2021年
過去に10%以上の減量をし、1年以上維持している成人232名を対象に、「維持成功者」と「リバウンド者」を比較。
協調性(Agreeableness)が高い人は、減量を維持できる可能性が高かった。
一方、**衝動性(特に粘り強さの低さ・運動性衝動の高さ)**がある人はリバウンドしやすい傾向。
🔗 PMCID: PMC8280342
📰 Frontiers in Nutrition(Eating Behavior セクション)
📘 DOI: 10.3389/fnut.2021.702382
■「“これは私の一部”:5つの食事スタイル別、継続の心理的要因」
Tegan Cruwys 他, 2020年
ベジタリアン、ヴィーガン、パレオ、グルテンフリー、減量食など5つの食習慣グループの292人を対象に継続率と動機を調査。
結果:
- 自分のアイデンティティと食習慣が結びついているほど継続しやすい
- 一方で、「気分調整」や「体重を落とすため」の動機は継続率が低かった
- Big Fiveの性格特性より、社会的同一化や動機の種類が大きな影響要因だった
🔗 全文はこちら(MDPI)
📰 Nutrients, 12(4): 970, 2020
📘 DOI: 10.3390/nu12040970
■「成人肥満へのライフスタイル介入に対する性格特性の影響:系統的レビュー&メタ分析」
Tianyu Huang 他, 2023年
9件の研究・計1,725人を対象に、性格とライフスタイル介入(食事・運動)の成果との関連を分析。
結果:
- 誠実性が高い人は、介入中の体重減少やBMI改善が大きい
- 新奇追求傾向(Novelty-seeking)が低い人は、より良い結果を出しやすい(=衝動性が低く、一貫した食習慣が作れる)
- 著者は、「性格特性を取り入れたパーソナライズ介入」が長期的成果を高めると提案
🔗 SSRN Preprint
📰 Journal of Behavioral Medicine, Dec 2023