「本当の自分」は探すべき?探さないべき?議論が分かれる理由

<この記事の超かんたんな要約>

この記事では、「本当の自分」という概念について、様々な角度から考察しています。

「本当の自分」には、内面的、理想的、過去の、一貫した、成長するなど、多様な解釈があります。これらの解釈は人それぞれで、一つの正解があるわけではありません。

「本当の自分」を見つけることで幸福度が上がるという考え方がある一方で、それにこだわりすぎるとコミュニケーションの困難や成長の妨げになる可能性もあります。大切なのは、様々な解釈のバランスを取り、状況に応じて柔軟に対応することです。

また、「本当の自分」の捉え方は人それぞれなので、他者の解釈を尊重し、寛容な態度を持つことが重要です。

記事では、やりたいことが見つからない人や自信を失った人へのアドバイスも提供しています。自己理解を深める、様々な経験を積む、専門家の助けを借りるなどの方法が役立つでしょう。

結論として、「本当の自分」という概念を多角的に捉え、その意味や影響について考えることで、より豊かな人生の指針を得られる可能性があります。

ーーー超かんたんな要約ここまでーーー

「本当の自分」については、それをプラスにとらえる議論とマイナスにとらえる議論の両方があります。しかしそれはなぜなのでしょうか。この記事では「本当の自分」の意味について掘り下げ、両論が生まれる理由を探りたいと思います。話者にとって「本当」と感じられる事は様々あることが理解できれば、「本当の自分」の発見のメリットをより享受できることでしょう。

目次

この記事でわかること

  • 「本当の自分」の種類
  • プラスの議論・マイナスの議論
  • 他者の考えにオープンになるために

「本当の自分」にはどのようなものがあるか?

さっそくはじめましょう。「本当の自分」という概念は、人によって異なる解釈がありえます。以下に、いくつかの可能性を列挙してみます:

1.内面的な自己:

  • 他人の目を気にせず、素直な感情や思考を表現できる自分
  • 社会的な役割や期待から解放された、本質的な自分

2.理想の自己:

  • 自分が目指す、あるべき姿としての自分
  • 潜在能力が最大限に発揮された状態の自分

3.過去の自己:

  • 子供時代の純粋な自分
  • 人生の転機以前の、本来の自分

4.隠れた自己:

  • 普段は抑圧している欲望や衝動を含む、無意識の自分
  • 他人には見せない、秘密の一面を持つ自分

5.一貫した自己:

  • 様々な状況や関係性の中でも変わらない、核となる自分
  • 自分の信念や価値観に忠実な自分

6.多面的な自己:

  • 状況に応じて異なる側面を見せる、柔軟な自分
  • 矛盾する要素も含めた、複雑な全体としての自分

7.成長する自己:

  • 常に学び、変化し続ける自分
  • 過去の経験を統合し、進化していく自分

8.社会的な自己:

  • 他者との関係性の中で形成される、相互作用的な自分
  • 社会や文化の中で意味を持つ、文脈依存的な自分

9.身体的な自己:

  • 身体感覚や直感を重視する、物理的な存在としての自分
  • 遺伝子や生物学的特徴に基づく、本質的な自分

10.超越的な自己:

  • 精神性や宗教的体験を通じて感じる、高次の自分
  • 個人を超えた、普遍的な存在としての自分

これらの解釈は互いに排他的ではなく、重なり合う部分もあります。

いかがでしょうか?個人の経験、文化的背景、価値観などによって、「本当の自分」の捉え方は大きく異なる可能性があることがわかります。話者が「本当」と感じることが、「自分」にほかならないからです。なかには、いままで考えたこともなかったような「本当の自分」があったのではないでしょうか?

「本当の自分」のポジティブな影響

以上の項目の中から、本当の自分の解釈のうちポジティブな結果をもたらすものをみていきます。

プラスの影響:

  1. 理想の自己(2番):
    • 自己成長の動機付けとなり、目標達成への意欲を高める
    • 自己効力感を向上させ、ポジティブな自己イメージを形成する
  2. 一貫した自己(5番):
    • 価値観に基づいた意思決定により、自己一致感と自信を得られる
    • ストレス耐性が向上し、精神的安定性が増す
  3. 成長する自己(7番):
    • 柔軟性と適応力が高まり、様々な状況に対処できるようになる
    • 生涯学習の姿勢が身につき、知的好奇心と創造性が刺激される

これら2・5・7の組み合わせは、確かに幸福度の向上に寄与する可能性が高いと考えられます。理想を持ちつつ、自分の核となる価値観を大切にし、同時に成長し続ける姿勢は、自己実現と幸福感の達成につながりやすいでしょう。

以上の考え方が実際に幸福度を高めることは様々な研究によっても実証されています。

「本当の自分」が実現できると幸福度が高まる理由

自分のやりたいことや意義を感じられることを行う人生が幸福感を高めるという考えは、一般的な幸福感に関する議論においても支持されています。以下にその理由と関連する議論をまとめます。

自己実現と幸福感

自分の存在意義や価値を感じる活動に従事することは、単に多様な活動を行うよりも安定的に幸福感を高めることができるとされています。これは、精神的な安定やストレス耐性を向上させる効果があるためです。例えば、心理学者ヴィクトール・フランクルは、自分の生きる意味を見出すことが、過酷な状況下でも生き延びる希望を与えると述べています。

自分軸の重要性

自分の価値観や望む生き方を明確にし、自分軸を持つことは、人生の幸福感を高める要因として重要視されています。自分軸を持つことで、意思決定を自分で行い、その結果に満足しやすくなり、幸福感が高まります。このように自己決定感が幸福度に強く影響することは研究結果に示されています。

やりたいことを見つけることの意義

自分のやりたいことを見つけることは、人生の満足度を高め、目標や生きがいを持つことで幸福感を向上させるとされています。やりたいことを見つけることで、人生の選択肢が増え、自分の理想的な人生を歩みやすくなる可能性が高まります。

他者への貢献と意義

他者への貢献を通じて人生の意義を見出すことも、幸福感を高める要因とされています。他者の幸福を追求することが、自己の幸福感や人生の意義を高めることに繋がるという研究結果もあります。

以上のように、自分のやりたいことや意義を感じられることを行うことが、個人の幸福感を高めるという考えは、心理学的にも社会学的にも支持されています。自己実現や自分軸の確立、他者への貢献などが、幸福な人生を送るための鍵となる要素とされています。

このブログのこちらの記事は、こうした前提で書かれています。ただ、次章でふれるネガティブな影響については言及していないため、現時点で振り返ると偏りのある内容になっていると感じます。

「本当の自分」のネガティブな影響

ネガティブな影響は、自分の考える「本当の自分」を過度に追及することによって生じます。詳細は次の通りです。

マイナスの影響:

  1. 内面的な自己(1番):
    • 社会的規範を無視し、対人関係に困難をきたす可能性
    • 自己中心的な行動により、周囲との軋轢を生む
  2. 過去の自己(3番):
    • 過去にこだわり過ぎて、現在の成長や変化を受け入れられない
    • 現実との乖離が大きくなり、適応障害を引き起こす可能性
  3. 隠れた自己(4番):
    • 抑圧された欲望や衝動に囚われ、社会生活に支障をきたす
    • 自己分析に没頭するあまり、外部との関わりを避ける
  4. 多面的な自己(6番):
    • 状況によって異なる自己を演じることで、アイデンティティの混乱を招く
    • 一貫性のなさから、他者からの信頼を失う可能性
  5. 超越的な自己(10番):
    • 現実世界との接点を失い、日常生活に支障をきたす
    • 他者と共有できない経験に固執し、孤立を深める

これらの解釈を極端に追求すると、コミュニケーションの困難や成長の妨げ、自由の喪失といった問題が生じる可能性があります。

「本当の自分」をめぐるバランス感覚

上記の文脈で、あたかも「本当の自分」に優劣があるかのように受け取られた方がいらっしゃるかもしれませんが、当然そんなことはありません。大切なのはバランスです。3・5・7の解釈も行き過ぎれば、過度な成果主義に陥るでしょう。自己実現ができていない人間には価値がないでしょうか?明らかに誤った考え方です。自分が幸福を感じるためには「本当の自分」を見つけることより、人並みの暮らしができることのほうがはるかに重要である、というのもごく普通の考え方です。しかし、頭ごなしに「自己実現」には意味がないとするのも、同じように不適切ではないでしょうか?。6・8のような多面的で社会的な自己が「本当」だとしても、すべてが相対化されるわけではありません。なにかやろうとしたとき主体となるのは自分以外にはありません。このように、むしろどれかの解釈で行き詰まったときにこそ、別の解釈が拠り所になると考えるべきのように思います。

「共通の理解がない」ことを前提にする必要

以上に見たように本当の自分が何を意味しているかは十人十色。共通の理解がないことがむしろ前提になります。ぜひどの解釈とどの解釈が衝突しやすいか考えてみて下さい。自分の解釈のみが正しく(あるいは多数派で)相手が間違っているとすることにも、客観的には妥当性がないことが明らかになるでしょう。相手の尊重や他者への寛容は、道徳的な理由によるものではなく論理的な帰結です。

補足テキスト

やりたいことが見つからないと悩む人へのアドバイス

やりたいことや意義を感じられることが見つからないと悩む人に対して、以下のようなアドバイスが有効です。

自己理解を深める

1. 自己分析を行う:
自分の性格、価値観、強みや弱みを理解することが重要です。これにより、自分が何に興味を持ち、どのような活動に満足感を得られるかが見えてきます。

2. 過去の経験を振り返る:
過去に楽しかったことや成功体験を振り返り、それらに共通する要素を探します。これにより、自分が本当にやりたいことのヒントが見つかることがあります。子供のころに夢中になったことや、困難な体験の中で大切に思ったことが手掛かりとなるかもしれません。

行動を起こす

1. 興味を持ったことを試してみる:
気になったことや興味を持ったことは、まず実際にやってみることが大切です。完璧を求めず、気軽に取り組むことで新たな発見があるかもしれません。

2. 多様な経験を積む:
アルバイトやボランティア、趣味の活動など、多くの経験を積むことで、自分の興味や適性を見つけやすくなります。また、他者との交流を通じて新たな視点を得ることも有効です。

外部の助けを借りる

1. キャリアカウンセリングを受ける:
プロのキャリアカウンセラーや転職エージェントに相談することで、自己分析の精度を高めたり、適性を見極める手助けを受けることができます。

2. 他者の意見を取り入れる:
友人や家族、同僚など、身近な人に自分の強みや興味について意見を求めることで、新たな視点が得られることがあります。

心の持ち方を変える

1. ネガティブ思考を捨てる:
「自分にはできない」「やりたいことが見つからない」といったネガティブな思考を捨て、ポジティブに物事を捉えることで、行動に移しやすくなります。

2. 自分に合ったペースで進める:
焦らず、自分のペースでやりたいことを見つけることが大切です。無理に急ぐ必要はありません。

これらの方法を実践することで、やりたいことや意義を感じられることを見つける手助けになるでしょう。

自分への悪い評価で自信を無くした人へのアドバイス

他者に否定された経験や、ネット社会での「いいね」の数が少ないことにより、自分の価値を信じられなくなり、自分を見失うことはよくある現象です。これに対して、以下のアドバイスが役立つでしょう。

自己肯定感を高める

1. 自己肯定感の重要性

自己肯定感とは、自分の存在や価値を肯定的に評価できる状態のことです。自己肯定感が低いと、他者からの否定的な評価に過剰に反応し、自分の価値を見失いやすくなります。自己肯定感を高めることは、他者の評価に左右されないために重要です。

2. 感謝の気持ちを持つ

感謝の気持ちを持つことで、自己肯定感を高めることができます。日常生活の中で、感謝できることを見つけ、それを意識的に表現することで、ポジティブな気持ちを持続させることができます。

行動を通じて自己価値を再確認する

1. 小さな成功体験を積む

小さな目標を設定し、それを達成することで自己肯定感を高めることができます。小さな成功体験を積み重ねることで、自分の価値を再確認しやすくなります。

2. 多様な経験を積む

新しいことに挑戦し、多様な経験を積むことで、自分の興味や価値観を再発見することができます。これにより、他者の評価に依存せず、自分の価値を見つける手助けとなります。

ネット社会での評価に対処する

1. 他者と比較しない

ネット社会では他者との比較が容易ですが、過度に他者と比較することは自己否定感を強める原因となります。自分のペースで成長し、自分の目標に集中することが大切です。

2. フィードバックを積極的に活用する

「いいね」の数に一喜一憂するのではなく、建設的なフィードバックを求め、それを自己改善に活かすことが重要です。これにより、他者の評価をポジティブに活用することができます。

専門家の助けを借りる

1. カウンセリングやコーチングを受ける

専門家の助けを借りることで、自己否定感を克服し、自己肯定感を高めるための具体的な方法を学ぶことができます。カウンセリングやコーチングは、自己理解を深めるための有効な手段です。

2. サポートグループに参加する

同じような悩みを持つ人々と交流することで、共感や励ましを得ることができます。サポートグループに参加することで、自分の悩みが特別なものではないと感じられ、安心感を得られることがあります。

これらのアドバイスを実践することで、他者の否定的な評価やネット上の評価に左右されず、自分の価値を見失わないようにすることができます。

自己評価が低くて一歩を踏み出せない人へのアドバイス

自己肯定感を高めるために他者と関わったり、成功体験を積んだりすることは重要ですが、それ自体がハードルとなることもあります。このような「鶏が先か卵が先か」の状況を打破するためには、以下のような心の持ち方やアプローチが役立つでしょう。

自己受容とマインドフルネス

1. 自己受容の重要性

自己受容とは、自分のありのままを受け入れることです。自分の弱さや不安を否定せず、そのままの自分を認めることで、心の安定を図ることができます。これにより、他者との比較や評価への過度な依存を減らすことができます。

2. マインドフルネスの実践

マインドフルネスは、現在の瞬間に意識を集中し、過去や未来への不安を手放す方法です。日常的にマインドフルネスを実践することで、心の平穏を保ち、自己肯定感を徐々に高めることができます。

小さなステップから始める

1. 小さな目標を設定する

大きな目標を立てるのではなく、達成可能な小さな目標を設定することで、成功体験を積みやすくなります。これにより、少しずつ自己肯定感を高めることができます。

2. 日々の習慣を見直す

日常生活の中で、少しずつ新しいことを取り入れる習慣をつけることで、多様な経験を積むことができます。例えば、新しい趣味を始める、異なるルートで通勤するなど、小さな変化を取り入れることが効果的です。

サポートを求める

1. 信頼できる人に相談する

信頼できる友人や家族に自分の気持ちを話すことで、サポートや共感を得ることができます。これにより、孤独感を和らげ、他者との関わりを持ちやすくなります。

2. 専門家の助けを借りる

カウンセリングやメンタルヘルスの専門家に相談することで、自己肯定感を高めるための具体的なサポートを受けることができます。

心の持ち方を変える

1. 完璧を求めない

完璧を求めず、失敗を恐れない心の持ち方を意識することが大切です。失敗は成長の一部であり、そこから学ぶことができると考えることで、行動に移しやすくなります。

2. 自分を責めない

自分を責めず、優しく接することを心がけることで、自意識を一度カッコに入れ、あるがままの自分を受け入れることができます。

これらのアプローチを実践することで、最初の一歩を踏み出しやすくなり、自己肯定感を高めるための基盤を築くことができます。

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