<この記事の超かんたんな要約>
「不安や心配の90%は起こらない」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。この考えは、ある研究から生まれました。研究では、不安障害を持つ人たちが心配していることの多くが、実際には起こらなかったことがわかりました。
でも、この研究結果をそのまま誰にでも当てはめるのは難しいかもしれません。なぜなら、研究に参加したのは不安障害の人たちだったからです。普通の人の場合、心配していることが起こる確率はもう少し高いかもしれません。
大切なのは、不安とうまく付き合う方法を見つけることです。目標を持って頑張ることや、本当に危険なことには具体的に対処することが大切です。また、死のような避けられない不安もありますが、自分なりの考え方を持つことで前向きに生きられるかもしれません。
もし不安が強すぎて困っているなら、家族や先生、お医者さんに相談するのもいいでしょう。みんな不安を感じることはありますが、それと上手に付き合う方法を見つけることが大切です。
----超かんたんな要約ここまでーーーー
「不安や心配の90%は起こらない」――この言葉を聞いたことがあるでしょうか。多くの人にとって心強い言葉に感じられるこの説は、実はある研究結果に基づいています。しかし、この数字が一人歩きしている感も否めません。今回は、この広く知られた説の背景にある研究を掘り下げ、その真相に迫ります。
不安に悩む人々にとって希望の光となるこの研究結果。しかし、それは本当にすべての人に当てはまるのでしょうか?また、私たちの日常生活にどのような影響をもたらすのでしょうか?
この記事では、研究の内容や結果の解釈、さらには私たちの生活における不安との向き合い方まで、幅広い視点から考察していきます。あなたの不安に対する見方が、この記事を読んだ後には少し変わるかもしれません。
この記事でわかること
・「不安の90%は起こらない」説の科学的根拠
・全般性不安障害(GAD)患者と一般人の不安の差異
・不安に対する効果的な対処法
・死のような特殊な不安への向き合い方
根拠となる論文について
よく目にする話です
ネットではこの話をよく見かけます。「不安に思う事や心配な事の9割は、実際にはおこらない」。なにかの心理学の研究に基づいている話と想像できますが、今回それらしき研究を見つけました。
研究はこちら
AIに論文を調べてくれる拡張機能があるので、そちらで探してみました。
行動療法に関する研究で、全般性不安障害(GAD)を持つ人々が日々の不安を記録し、その結果を30日間にわたって追跡しました。この研究では、記録された不安の91.4%が現実には起こらなかったことが示されました。この結果は、多くの不安が現実化しないという考えを裏付けています。さらに、現実化しなかった不安の割合が高いほど、治療後にGADの症状が改善する傾向が見られ、不正確な予測を修正することが治療において有益であることが示唆されました (LaFreniere & Newman, 2020)。
この研究は、特に不安障害を持つ人々において、多くの不安が現実にならないことを示す実証的な証拠を提供しています。
原文はこちらになります
A study published in Behavior Therapy tested the premise that many worries do not come true. In this study, individuals with generalized anxiety disorder (GAD) recorded their worries daily and tracked the outcomes over a 30-day period. The results showed that 91.4% of worries did not materialize, supporting the idea that most worries are unfounded. Moreover, higher percentages of untrue worries were associated with a reduction in GAD symptoms after treatment, suggesting that challenging inaccurate expectations can be beneficial in therapeutic settings (LaFreniere & Newman, 2020).
This study provides empirical evidence supporting the notion that the majority of worries do not come to pass, especially in individuals with anxiety disorders.
他のAIでも裏付けをとってみました
他のAIで調べたところ以下のような回答がありました。
ペンシルベニア州立大学の研究者による2020年の論文が、この話題に関連する信頼できる情報源として見つかりました[6]。この研究では、不安障害の人々の心配ごとの91.4%が実際には起こらないことが示されています。
La Freniere, L. S., & Newman, M.G. (2020)の論文「Exposing worry’s deceit: Percentage of untrue worries in generalized anxiety disorder treatment」(Behavior Therapy, 51(3), 413-423)によると:
- 29人の参加者に10日間にわたって心配ごとを記録してもらいました。
- これらの心配ごとに根拠があるかどうかを調査しました。
- 「なんらかの根拠がある心配ごと」についても、30日間の追跡調査を行いました。
- 結果、これらの心配ごとの91.4%は実際には起こりませんでした[6]。
この研究結果は、「不安や心配の90%以上は現実化しない」という主張を裏付ける科学的な証拠と言えます。ただし、この研究は不安障害の患者を対象としているため、一般の人々にも同じ割合が当てはまるかどうかは慎重に解釈する必要があります。
また、この研究は単一の論文の結果であり、さらなる研究や検証が必要です。不安や心配の性質は個人や状況によって異なる可能性があるため、この数字を絶対的なものとして捉えるべきではありません。
Citations:
[6] https://news.infoseek.co.jp/article/president_78941/
完全に医学の領域の話です
医学の領域の話ですので、軽々に結論を取り扱っていいものではないのは明らかです。しかも、被験者が29人というのは予想外の少なさだったのではないでしょうか?AIが結論付けるように、一般化していい事柄なのかどうかについては検討の余地があるでしょう。
あなたの懸念が現実化する確率は?
あなたが不安障害でないとするなら、現実化の確率は10%より明らかに「高い」と言わざるをえないでしょう。あなたは理由なく何でもないことを不安には思わないからです。不安を感じがちの人の認知のゆがみを是正することが不安の低減につながるのは事実と考えられますが、そのアプローチがすべての場合に有効とは言えないでしょう。予知能力者でない限り、結果が予測できない未来はつきもので、そのことによる不安をゼロにすることは不可能だからです。
不安とはどう向き合うべきなのか?
何をしたらいいか?がわからないから不安になる
具体的な目標があって、それに向かって着実に努力している最中であれば、未来についてあれこれ考えすぎてしまうということもなくなるはず。したがって、自分なりに充実した人生を送れるように考えて実行する、というのは不安のひとつの処方箋ということができるかもしれません。「なにをしたらいいかわからない」場合の対策については、別記事でふれました。
また、不安に具体的な根拠があり、わが身に迫っているものである場合には、リスクを減らすために現実のアクションが必要になります。実際に危機が近いとするならば、対処すべきことは様々にあって、漠然とした不安を感じているどころではないでしょう。
究極の不安:死
論文の結論をはなれて、一般的に言われている「不安に思っていることは9割起こらない」という説にやや「気休め感」があるのは、究極の不安の原因である「死」についてふれていないからではないでしょうか?しかも人間である以上、死は100%避けられません。つまり10割起こるわけです。この問題については別記事にまとめました。結論は前項と重複しますが、自分なりの死生観をもつことで、自分なりに充実した人生を送れるように考えて実行することができるようになる可能性があります。
「不安や心配の90%は起こらない」の真実:結論
もともとの論文が不安障害の方を対象としていたことからもわかる通り、重篤な不安については身近な人に相談し、必要な場合にはためらわず医療機関を受診すべきです。なお本文中では述べませんでしたが、対人関係によって生ずる不安については、またあらためて記事にする予定です。少し先になりますが、楽しみにお待ちください。
「不安や心配の90%は起こらない」の真実:まとめ
- 「不安や心配の90%は起こらない」という説が広く知られている
- 全般性不安障害(GAD)患者を対象とした研究が根拠となっている
- 研究では29人の参加者が10日間心配ごとを記録した
- 結果、記録された不安の91.4%が現実化しなかった
- この研究は不安障害患者対象のため一般化には慎重さが必要
- 不安障害でない人の場合、不安が現実化する確率は10%より高い可能性がある
- 具体的な目標と努力が不安軽減に効果的である
- 実際の危機に対しては具体的なアクションが必要となる
- 死は避けられない究極の不安要因である
- 自分なりの死生観を持つことが充実した人生につながる
- 重篤な不安は医療機関への相談が推奨される
- 対人関係による不安は別途考察が必要である